環境規制への対応


電池に関する環境規制の概要

環境保護および人の健康への配慮が国際的に求められる中、電池についても、含有化学物質の管理、製品設計、表示、回収・リサイクル等に関するさまざまな法令が制定されています。

特にEUでは、REACH規則、RoHS指令、EU電池規則、EU POPs規則など、ライフサイクル全体を対象とした包括的な環境規制が整備されており、米国においてもカリフォルニア州Proposition 65をはじめとする法規制が適用されます。電池に適用される規制は、電気・電子機器(EEE)に対する規制とは異なる点があり、対象法令や要求事項を正しく理解することが重要です。

当社では、これらの法令の趣旨を踏まえ、電池の設計・製造段階から適切な管理を行い、各地域の法規制要件に対応した電池を提供しています。本ページでは、当社電池に関連する主な環境法令とその概要についてご紹介します。



1. EU REACH規制への対応

欧州REACH規則(EC No.1907/2006)は、化学物質の登録・評価・認可・制限を通じて、化学物質による「人の健康」と「環境」へのリスクを低減することを目的とした包括的な化学物質規制です。

電池はArticle(成形品)であり、以下の遵守義務があります。

■第33条(SVHC情報伝達義務)

電池の構成部品において、SVHCが0.1 % 以上含まれる場合、供給先様には初回納入時に、消費者様からのお問い合わせには45日以内に、該当物質名を無償にて提供いたします。

■第67条・Annex XVII(使用制限義務)

Annex XVIIに該当する物質が含まれる場合、当社は製造・販売・使用の制限条件を遵守しております。


2. EU RoHS指令への対応

RoHS指令(2011/65/EUおよび改正指令(EU)2015/863)は、電気・電子機器(EEE)に含まれる特定有害物質の使用を制限し、環境保護および人の健康保護を目的とした EUの法規制です。電池はRoHS指令の対象外であり、電池規則に従います。

ただし、当社電池は、RoHS指令で規制される10物質(鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB、PBDE、DEHP、DBP、BBP、DIBP)を意図的に使用しておらず、含有量(均質物質当たり、カドミウムが100ppm、その他は1000ppm)も規定値未満であることを確認しています。

そのため、「RoHS適合証明書」ではなく「不使用宣言書」は発行可能です。


3. EU 電池規則への対応

EU電池規則(Regulation (EU) 2023/1542)は、旧EU電池指令(2006/66/EC)を置き換える新しい包括的ルールで、2023年8月に発効しました。旧指令が主に回収・リサイクルを対象としていたのに対し、新規則は原材料調達におけるデューデリジェンスから、設計、製造、使用、回収、再資源化まで、電池のライフサイクル全体を対象とするより広範な規制となっています。

規則の対象は全ての電池で、EUおよび欧州経済領域加盟国で電池を販売される場合、拡大生産者責任によりEUの経済事業者(輸入者、販売者など)は廃電池の分別回収のため、市場投入国ごとに生産者登録をし、回収量などを報告する義務があります。なお、電池の回収リサイクルは電池指令を継承するもので、本規則にもとづく新たな規制ではありません。

電池規則は電池を使用する製品も対象としています。携帯用電池*1とLMT電池*2を組み込んだ製品は、エンドユーザーによってそれらの電池が容易に取り外しや交換ができる設計であることが求められます。(11条)

電池規則では適合商品にCEマーキングや分別回収シンボル(クロスドアウトホイールビンシンボル)などの表示が求められます。電池が小さく表示ができない場合、包装や電池に付随する文書に表示が必要となります。(13条)

製品サイト掲載の小型電池は、物質の制限(6条)を満たしており、欧州での販売が可能です。なお、日本国内など販売地域によっては表示が欧州販売に適さない製品がありますので、詳細はお問い合わせください。

また、電池規則では、電池の区分により要求事項が異なります。携帯用電池*1 や 産業用電池*3で2kWh以下のものにはカーボンフットプリント(7条)、再生材の利用(8条)やデジタルバッテリーパスポート(77条)などは適用されません。EV や LMT など、該当カテゴリーに属する電池については、各要求に関する二次法の整備状況を踏まえ、順次対応を進めてまいります。

1 Portable battery;産業用に特別に設計されたものではない、5kg以下の密封された電池
2   Light Means of Transport battery;密閉され、重量が25kg以下で、車両の牽引用に電力を提供すべく設計されたもので、電気自動車用電池ではないもの
3 Industrial battery;産業用に特別に設計された電池、または再利用又は転用の準備をされたもの、または5 kgを超える電池


4. EU POPs規則への対応

EU POPs規則(Regulation (EU) 2019/1021)は、残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)の製造、使用、上市を制限する欧州連合の法規制です。

すべての加盟国に即時・直接適用され、追加の国内法整備が不要なため、EU域内で統一した管理が可能となる強力な規制枠組です。

当社電池につきましては、EU POPs規則の規制対象となる物質は含まれておりません。


5. プロポジション65への対応

カリフォルニア州法「Proposition 65(Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986)」は、発がん性や生殖毒性を引き起こす可能性のある化学物質を一定量含む製品について、カリフォルニア州で販売する際に「明確で合理的な警告表示」を義務付ける法律です。対象となる化学物質は州のリストに掲載されており、定期的に更新されています。

電池は、金属ケースで密閉されており、通常の使用状態では化学物質が人体に暴露されることはありません。そのため、カリフォルニア州プロポジション65における「暴露」の定義には該当せず、警告表示は不要と判断しています。